鳳長太郎と宍戸亮の公式での関係|落ちた3年生と、付き合った2年生
宍戸亮は氷帝学園中等部3年、もとはシングルスの選手でした。プレースタイルはカウンターパンチャー。ところが都大会で不動峰の橘桔平に惨敗します。氷帝の顧問・榊太郎の方針は「敗者切り捨て」。宍戸は正レギュラーから外されました。
鳳長太郎は2年。長身から放つスカッドサーブを持つサーブ&ボレーヤーで、来年は氷帝学園男子テニス部の次期副部長に就任することが決まっています。全国大会では改良版のネオスカッドサーブで215km/hを記録し、大会最速記録を樹立しました。
その宍戸が正レギュラーへ戻った理由は、公式に二つ挙げられています。鳳長太郎との努力の特訓と、跡部景吾からの推薦。実力主義の学校で、後輩との練習が復帰条件の半分を占めている。ここが鳳宍の出発点です。
復帰を嘆願するとき、宍戸は都大会以前に後ろで一つに縛っていた長髪を、自らハサミで短髪にしています。以後はダブルス専門。シングルスの選手だった男が、髪と種目をまとめて捨てて戻ってきたわけです。
鳳の側の記録はもっと古い。1年でテニス部に仮入部していた頃、赤ちゃんを救う宍戸を見て尊敬するようになった。さらに遡ると、4歳の鳳が沖縄の海で溺れたところを、当時5歳の宍戸が助けています。テニスより前に、一度助けられている後輩。
スカッドサーブを受け続けて、宍戸亮は瞬間移動を手に入れる
特訓の中身は、はっきりしています。鳳が大会最速のスカッドサーブを打ち、宍戸がそれを受け続ける。反応速度を極限まで高めた宍戸は、カウンターを叩き込む瞬間に常にベストな体勢を取れる「瞬間移動(ダッシュ)」を会得しました。

この特訓の名残として、宍戸の体中には傷が残り、左眉の横にはいつも絆創膏が貼られています。技のかっこよさより先に、痕が残っている。後輩の球を体で覚えた記録が、そのまま顔に出ているわけです。
このサーブは、鳳が「一球入魂」と声を出して放つ一撃必殺の球です。宍戸が浴び続けたのも、その一発でした。鳳の一球が、宍戸の技になった。ダブルスを組む前から、二人の球はもう噛み合っています。
宍戸の努力は部内でも見られていました。関東大会の青学戦前に宍戸へ敗れて正レギュラーを外された滝萩之介が、こう言っています。
「宍戸の努力を見たら、誰だって凄いと思うでしょ?」
『ペアプリ』滝萩之介のコメント
座を奪われた側の言葉です。恨みではなく評価が返ってくる程度には、宍戸の練習は人目についていた。そしてその練習に一番近くで付き合っていたのが鳳でした。
鳳宍の左右|なぜ後輩の鳳長太郎が先に置かれるのか
ファンの間では鳳宍(とりしし)という呼び方で定着しています。pixivのタグ件数では、イラスト・漫画・小説を合わせて3,163件。逆順の宍鳳(ししとり)は233件で、およそ14倍の差があります(2026年8月5〜6日時点、未ログイン状態での検索結果)。同じ条件で調べた『テニスの王子様』のCP名の中では上位です。同じ2人を指すコンビタグとして「氷帝D1」もありますが、これはダブルス1というオーダー表記をそのまま名前にしたもので、件数は94件と桁が違います。
この作品は昔から「ダブルスを組んだペアが人気」と言われてきたジャンルで、2009年の質問サイトでも「鳳×宍戸」が王道の一つとして挙げられています。ペアの支持自体は新しい話ではありません。
学年で言えば宍戸が上。復帰した先輩、部内で認められた努力、口の悪いカウンターパンチャー。並びの理屈だけなら、宍戸が左でも通ります。実際、宍鳳という名称も併存しています。
それでも鳳宍として読むなら、根拠は「球を出すのはどちらか」に置けます。特訓でサーブを打つのは鳳。宍戸の技を作ったのは鳳の球。宍戸は、鳳が出したものを受けて返す側に立っています。差し出すのが鳳、返すのが宍戸。PUTONはここを起点にします。
ただし宍戸は、受けるだけの人ではありません。落とされたときに髪を切ったのも、大会最速のサーブを全部返せるようになったのも本人です。鳳の一球を受け止め切れる相手が、たまたま一つ上の学年にいた。
青学の黄金ペアを倒したD1と、新テニで鳳長太郎が勝った日
ペアとしての戦績は明快です。関東大会の青学戦D1で乾貞治・海堂薫ペアに6-3。全国大会準々決勝のD1では大石秀一郎・菊丸英二の黄金ペアに7-6。氷帝が青学に落とした試合が並ぶ中で、この枠だけが二度とも勝っています。
鳳は宍戸を非常に尊敬しており、宍戸のために自分のレギュラーの座を譲ることも厭わないとされています。どんな時でも口に出るのは「宍戸さん」。呼び方が一度も崩れない後輩です。
ところが『新テニスの王子様』の脱落タイブレークマッチで、二人は当たってしまいます。宍戸はスカッドサーブを全て打ち返しました。それでも、勝ったのは鳳です。
受け続けた球を全部返せるようになった先輩が、その球の持ち主に負ける。特訓の成果が完全に出た試合で、結果だけがひっくり返っている。差し出す側と受ける側という並びが、公式に一度反転するのがこの脱落マッチです。
宍戸の側にも動きがあります。ダブルスパートナーの鳳を特別大切に思い、とても気遣っている。そして最近は、鳳に近づく高校生の平理とん平と天神耕介が気になっている。ただし、面と向かって聞けずにいる。口癖が「激ダサ」、新テニでは「ちょいダサ」の男が、ここだけ黙る。
逆に鳳は、アニメでは普段のお人好しな分、一度怒ると止まりません。尊敬する宍戸にも、部長の跡部にも、監督代理の手塚にさえ口を出す一面がある。下から支える後輩、という一方向の図では収まらないのが鳳長太郎です。