切島鋭児郎と爆豪勝己の公式関係|紹介文に相手の名前が出ない

まず二人の立ち位置から。切島鋭児郎は出席番号8、爆豪勝己は出席番号17。どちらも雄英高校ヒーロー科1年A組です。個性は、切島が全身をガチガチに硬くする「硬化」、爆豪が掌の汗腺から出したニトロのような汗を爆発させる「爆破」。ヒーロー名は烈怒頼雄斗(レッドライオット)と、大・爆・殺・神ダイナマイト。

そのうえで、公式の人物紹介文は切島の文にも爆豪の文にも相手の名前を置きません。爆豪の紹介文が名指しするのはデクだけ。切島の紹介文にいたっては、誰の名前も出てきません。劇場版でも同じ扱いが続きます。

ただし、切島を名指しした公式紹介文が一つだけ存在します。ファットガムの文です。「切島鋭児郎、鉄哲徹鐵、天喰環のインターン先」。切島の名前を書き込んでいるのは、同級生ではなく受け入れ先のプロヒーローでした。

言葉で結ばれていない代わりに、行動の記録だけが積み上がっていく。誘った、行った、叱られた、勝った、負けた。切爆は、この動詞の向きを数えて読むCPだと思います。

爆豪の救出に切島が誘い、叱られた5人に切島がいた

二人が最初に同じ場面へ置かれるのは、USJ襲撃事件です。アニメ第11話「ゲームオーバー」で、爆豪も切島も轟も、それぞれ飛ばされたゾーンでヴィランと戦っている。第12話「オールマイト」では、ヴィランを撃退した三人がまとめて駆けつけます。ただし、ここでの二人はあくまで複数名のうちの二つの名前です。

「片方が、もう片方のために動いた」と読める最初の記録は、爆豪が攫われた回。夏の林間合宿で爆豪と常闇がMr.コンプレスに捕われ、常闇は取り戻したものの、爆豪はそのまま連れ去られます。そして入院中の出久のもとへ、切島が爆豪の救出を持ちかける(第45話「転転転!」)。第46話「飯田から緑谷へ」では、出久は轟と切島から誘われ、病院を抜け出しました。

この行動は、あとで許されないものとして扱われます。第51話「入れ寮」。相澤は、独断で爆豪の救出に向かった出久・轟・切島・飯田・八百万の5人と、それを知りながら止めなかった生徒たちを咎めます。切島は咎められた5人の中にいて、爆豪はその5人に入りません。爆豪はといえば、クラスメイトのそんな気持ちを振り払うように振る舞う側です。

そしてこの一件は、切島という人物の代表場面としても扱われています。アニメ公式の名シーン投票企画で切島の候補に挙がっているのが、第45話「転転転!」と、脳無工場の戦いを描く第48話「平和の象徴」。爆豪の被拐と救出をめぐる二話が、切島の名場面として公式に並べられている。切島の側から見た切爆の重さは、この選ばれ方に出ているとPUTONは読んでいます。

補講もインターンも別行動

救出のあと、二人の道はむしろはっきり分かれます。第78話「燻る炎」では、事件を受けて決意を新たにしたお茶子・切島・梅雨ちゃんらが雄英寮へ帰り、その一方で爆豪と轟は、落ちた仮免試験の補講へ向かう。切島は補講の対象ではありません。戻る側と、向かう側です。

インターン先も別。劇場版3作目の公式紹介文で、切島はファットガムの元、爆豪はエンデヴァーの元でインターン中と書かれています。轟爆のように「同じ事務所」という条件を、切爆は最初から持っていません。

死穢八斎會への突入作戦にいたっては、爆豪はそもそも参加していません。第72話「烈怒頼雄斗(レッドライオット)」で、ファットガムと共に身代わりとなって落ちた切島は、乱波のパワーで安無嶺過武瑠(アンブレイカブル)を破られ、「俺はまた何もできねえのかよ…」と自分を責めます。今の自分と中学時代の出来事を重ねてしまうこの場面に、爆豪はいません。

最終決戦でも別々でした。爆豪は雄英《天空の棺》で死柄木の一撃を胸に受け、心臓が停止する(第150話「禦ぐ者と侵す者」)。切島はギガントマキアと共に群訝山荘跡へ現れる(第156話「It's A Small World」)。同じ戦争の、最後まで交わらない二つの戦場。離れているのではなく、別々に配置され続けている。切爆の距離は、そういう形をしています。

並ぶときは、いつも別の形で|騎馬戦から8年後の助手席まで

もちろん、同じ側に立つ場面もあります。雄英体育祭の騎馬戦では、爆豪が切島・瀬呂・芦戸と同じチームを組みました。

ただし体育祭は、そのまま二人の直接対決へ進みます。準々決勝、第24話「飯田くんファイト」。切島の「硬化」を破った爆豪が勝ちました。硬化には持続の限界があり、連続攻撃を受け続けると体のどこかの力みが失われて解けてしまう。その弱点を作中で見破ったのが、ほかならぬ爆豪です。そう置き直すと、この一戦はただの一勝一敗ではなくなります。

仮免試験の一次選考では、並んで無力化されました。第55話「1年A組」で爆豪・切島・上鳴が士傑高校の肉倉精児と対峙し、第56話「RUSH!」では肉倉の個性で切島が肉塊に変えられ、反撃していた爆豪も隙をつかれて同じ姿にされます。残った上鳴が、爆豪と切島をけなす肉倉に怒り、新コスチュームの必殺技で応戦。個性が解除されて二人は復活し、3人で一次選考を突破しました。同じ相手に、同じ形で、まとめて扱われる。

逆に、合同戦闘訓練の5試合では、二人が同じチームに入った試合が一つもありません。切島は第1試合、爆豪は第4試合。同じ対抗戦の中にいて、最後までチームが重なりませんでした。

その並びが変わるのが、原作第42巻収録の書き下ろしエピソードをアニメ化したNo.170+1「More」。雄英高校の卒業から8年後、元A組が全員プロヒーローとして活動している時期の場面で、アニメ公式は爆豪が運転、助手席に切島、出久は後部座席と説明しています。

運転席でハンドルを握る木製マネキンと、助手席に座る木製マネキンが並んでいる場面

本編では別の戦場に配置され続けた二人が、後日談では座席の並びとして示される。言葉を交わす記録がないまま、隣の席には座っていた——PUTONが切爆でいちばん具体的だと思うのは、この一席です。

切爆と爆切、名前の並び順

ファンのCP名では、切島を先に置く「切爆(切島鋭児郎×爆豪勝己)」が主流です。pixivのタグ投稿数を2026年8月11日時点で見ると、切爆はイラスト・漫画4,546件、小説・SS2,274件。逆順の「爆切(爆豪勝己×切島鋭児郎)」は996件・633件で、イラストで4倍以上、小説で3倍以上の差がついています。

同じ爆豪が絡むCPと比べると、この偏りは目立ちます。轟焦凍との組合せは轟爆が3,397件・2,852件、爆轟が2,578件・3,282件とほぼ拮抗。切爆だけが片側に強く寄っている形です。切島のヒーロー名から作られた「烈爆」(31件・151件)が成立している一方で、逆順のヒーロー名表記は本作のCPタグとして機能していません。名前の並びは、どの方向でも同じように立つわけではないようです。

掲示板の景色も添えておくと、2026年8月11日時点の5ch・BBSPINKの801サロン板に、切爆の専用スレッドはありません。爆豪受けの総合スレッド(179スレ目)が扱う範囲に入る位置づけで、勝デクのように専用スレッドを持つCPとは事情が違います。

面白いのは、公式が二人を並べるときの順番です。AMNIBUSのキャラメモボードは「爆豪勝己&切島鋭児郎」という商品名で、二人がフレームからひょっこりと顔を覗かせるデザイン。ファンの主流が切島を先に置くのに対して、ライセンス商品は爆豪を先に置いています。

PUTONの読みとしては、切島を先に置く並びは行動の記録と重なります。悪態をつく相手にも構わず接し、救出に人を誘い、叱られる側に立つ。動作の主語は何度も切島に寄り、爆豪はそれを受け取る位置にいました。公式が二人に言葉を渡さなかったぶん、並び順を決める仕事は読む側に残っている。切爆という4文字は、その手が最初に選んだ順番です。